ICU当直日誌3

いくらなんでも手術が長過ぎる・・・。

嫌な予感がしてオペ室に足を運んだ。

定時の心室補助装置留置術なら5時間前にICUに来てもおかしくない。

ドアを開けたとたん手術室の床が血まみれになっているのが目に入る。

患者の胸を開けたとたん以前の手術で受けた傷のせいで血管が裂け、出血、心肺機能が低下しECMO(体外式循環装置)の留置に踏み切ったーーと同僚の麻酔科医が口早に報告してきた。

ICUに運ばれてきた患者はその後も出血し続けた。バケツ何杯分もの輸血を続ける。やがて、腎臓、肝臓と体内の臓器が次々と失速していき血液検査データが異常数値を示す赤色で染まった。

(どこまで延命を続けるか?)

先端の医療技術を駆使すれば生命維持は可能である。

(でも、だれのため?)

疑問が頭をよぎるが、責任者としては治療方針が確実になるまでは医療スタッフを鼓舞し続けなければならない。ひとりの患者のために3人、4人とサポートが着かなければいけなくなるので、現場のストレスが目に見えて高まるのがわかる。

容態が安定したところで、頭部CTを撮るために患者を検査室に搬送した。

胃が痛む思いで画像が送られてくるのを待つ・・・。

パソコンのスクリーンに映し出された脳の断面図には、薄い墨汁を散したように脳梗塞病変が点々としていた。

大きいものは3-5センチにもなる。

これでは脳麻痺は確実だろう。

3日間ぶっ続けで闘った結果がこれである。

沈む思いで患者の妻に電話をかけた。




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この記事へのコメント

blue bird
2013年01月03日 02:53
すごい闘いを日々くぐり抜けていらっしゃる…
感服致します

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