医療で世界を救うためにはー

以前にも少し書きましたが、組織マネージメントについてです。

学級委員にしろ、大学の自治会にしろ少しでも政治的な人間関係が入り込んでくる役割はことさら避けてこれまでやってきました。

がしかし、最近、そうも言っていられなくなってきました。

学ぶ側から教える側、命令される側から指揮する側に徐々に役割が移りつつあります。

じつは、アメリカの大学病院には360 degree reviewというものがあり、研究業績、臨床業績、教育業績など20項目ほどに渡って毎年査定を受けます。

このレビューに含まれているのが「医療委員会活動」という項目で、大学病院内の何らかの“管理委員”を務めているかも見られます。

図らずも、友人の外科医がはじめた臨床研究の安全管理委員長を頼まれたので「医療委員会活動」項目にも書き込む内容がでてきました。

当初「なにもやることがない簡単なしごとだよ」といわれて引き受けたのですが、彼の研究参加中に亡くなる患者がでて、予想外に仕事が増えて奔走することに。

委員長として会議にでて、他の委員のとりまとめ役をこなし、書類を作成して、倫理委員会に提出し、外科医の友人と話し合う。

まあ、そんな仕事ですが非常に勉強になります。

まず何より、英会話が飛躍的に伸びる。

日常で

「コーヒーを注文する会話力」と

「会議で人の意見をまとめ、結論に導く会話力」

には大きな違いがあります。

いまいち、英語でそれをこなすのが得手ではなかった。

しかし、この一連の経験を通して少なくとも不得手ではなくなりつつあります。

「うーん、いやだな。」とは思わなくなった。


もう一つ経験談を話すと、夫婦喧嘩の仲裁も良い訓練になりました。

ぼくのICU担当中に患者とその伴侶が病室で喧嘩を始め、警備員が呼ばれる騒ぎがありました。

ちなみに、「警備員至急要請!」のアナウンスは「コードグレー」と呼ばれます。

もちろん、「心肺停止、蘇生術要請!」のアナウンスは「コードブルー」。

このときはぼくは看護師に呼ばれて、待合室に連れ出された家族と話し合うことになりました。

ー何があったかを家族本人の口から聞く

ー理解を示す

ー不和の調停や責任所在を判じることが我々の目的ではないことを説明する

ー他の入院患者がいるところで騒がれるのはICU責任者として見過ごせないことを説明する

ー理解が得られるようであれば病室に戻って患者と会うことを許可する

まあ、流れはこうなりますが、会話の流れをスムーズに組み立てるにはそれに沿った英会話術を要します。

これも、非常に勉強になった。

こういった機会が、準備する間もなく突発的に生じます。

さながら抜き打ちの会話力テストみたいで知らず知らず、修行になります。

侮りがたし、医療英会話!!

正直に告白すると、仕事始めはこれが億劫で仕方ありませんでした。

臨床判断に集中・終始したいのに中間管理職的なことに時間を取られるのが、鬱陶しい。

しかも、それを英語でこなすのはさらに難しい。

また、ICUが立ち上がったばかりでトラブル対応策に白紙余白がありすぎる。

他のチームメンバーと話し合いながら、解決策を模索していきました。

いやだったこの経験も、最近は、違う捉え方ができるようになってきました。

ぼくひとりが医師としてできることはたかがしれています。

診られる患者の数にも限りがあるし、24時間働き続ける訳にも行きません。

そこで、違うトレーニングや専門を持つもの同士の力をどのように摺り合わせてベストな結果を出していくかを考えて、初めて臨床結果に違いを生み出せるのではないかと思います。

「自分が誰よりもできる医師になりたい」

という考えは卒業して

「医療チーム全体の底上げを図るにはどうしたらいいか」

がテーマになりつつあります。

そのために必要な英会話があるとすれば、それも身に付けなければなりません。

そのために必要なマネージメントスキルがあるとすれば、それも身に付けなければなりません。

これは、自分がいままで避けてきた弱点や苦手個所を見直すことにもなり、徐々にですが、医療者としての成長にもつながっている気がします。

いま、嬉しいことに母校の和医大から医学生がひとり臨床実習に来てくれています。

彼の模索・奮闘ぶりをみて、種類は違いますが十数年、年長の自分も同じような模索を続けていることを実感し、少し安心しました。

少なくとも、彼の挑戦を他人事としてみていることはしていません。

ぼくも頑張るので、彼にもぜひ頑張ってもらいたいと思います。






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